CRMは金づる探しじゃない!友人のように接するOne2Oneの本質

松本 健太郎

CRMを成功させている企業と聞いて、すぐに思い浮かぶ企業が何社あるでしょうか?

顧客とのコミュニケーション、および売上アップの方法として、CRMの活用が提唱されて四半世紀が過ぎようとしていますが、真に成功したと言える企業はまだ多くはないでしょう。

ビッグデータという言葉が世間を賑わせてから、顧客との取引や、関係をさらに細分化することに躍起なアナリスト・マーケッターも多く見受けられます。

しかしCRMの成功が難しくなっている理由は、クラスタリング粒度の問題ではなく、CRMにおけるRelationshipの定義が、「金づる」と同義になっているからではないでしょうか?

時代の移り変わりとともに、CRMを取り巻く環境も変化してきました。今回は、CRMの定義をいま一度振り返り、顧客と真に良好な関係性を構築するために、One2Oneコミュニケーションの本質について考えてみましょう。

 

1. CRMとは?その定義を振り返る

CRMはカスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略語で、顧客との長期に亘る良好な関係構築、またその関係構築を通じて企業の売上・利益を上げる考え方、および取り組みを意味します。

年齢・性別をはじめとする情報で顧客をセグメントに分け、接触回数や頻度などでさらに細かく管理することで、各顧客に最適なタイミングで最適なアプローチをして、売上・利益向上とともに最高の顧客価値を提供することがCRMの理想だといえます。

つまり、一般的に考えられるようにCRMは顧客データの管理と同義ではありません。その本質は「企業は長期的に安定した収益を稼ぎ、顧客は長期的に安定した価値を受ける」ことにあります。

参考:「3つのTIPSで理解!顧客リレーションシップマネジメントの本質とは?」

 

2. CRMがこれまでイマイチだった理由

CRMの理想はご理解いただけたかと思いますが、実際は成功事例がそこまで多くないのが現状です。

ではなぜ、CRMはこれまでイマイチだったのでしょうか?

それには、CRMが顧客からの支持を得られていないという背景があります。

たとえば、あなたのソーシャルアカウントが、性別・年齢・学歴・推定年収といった属性、あるいはソーシャル上のコメントをデータマイニングして、友人に点数をつけてセグメント化し、「この友人とあなたは付き合うべき!」と言ってきたらどうでしょうか?

きっと、「友人関係をそのような定義で測るべきではない!」という拒絶反応が押し上げるでしょう。

しかし、ほとんどのCRMの活用シーンは、このようなクラスタリングとセグメントによる顧客の差別化であり、要は金をより落とす層(「金づる」)の見極めに使われています。

果たして、それで良いのでしょうか?

 

3. CRMにおけるOne2Oneの本質とは?

あなたが友人と付き合う理由を考えてみてください。「お金持ちだから」ではなく、その人といて「心地が良いから」一緒にいるのではないですか?

ビジネスにおいて、収益性はもちろん大事ですが、これからのCRMにおけるOne2Oneコミュニケーションの本質は、顧客に親しみを持ってもらうことです。

これまでは、個人単位でコミュニケーションが取れなかったため、クラスタ(階層)で見ざるを得ませんでしたが、現代はテクノロジーが発達し、One2Oneでのコミュニケーションを実現することが可能となっています。

企業が(あるいはブランドが)、必要な時に思い浮かべられる存在であるためには、顧客とバーチャルであったとしてもフレンドリーでなくてはなりません。

そのため、「属性」を深掘りすることばかりに焦点を当てるのではなく、これからのマーケッターは、まるで友人と付き合うかのように、顧客の考えと感情を知って、親しくなっていこうとするアプローチが必要なのです。

過度なコミュニケーションや、押し付けがましい言葉は、そのための正解とは言えません。

仮にデータ上はCTRが高くないと判断されたり、他クラスタに比べて中優良クラスタだと判断されたりしても、顧客とバーチャルで友人関係になるという試みは、必ず顧客の心に響くでしょう。

 

今回のまとめ

CRMは、マーケティング戦略の1つではありますが、あくまでも「人」と「人」の付き合いです。決して、金づる探しではありません。

売上や利益を最優先するのではなく、あなたが友人に接するように、顧客の考えや感情を知って親しくなっていきましょう。

それがOne2Oneコミュニケーションの本質であり、売上や利益はその先にあるものだからです。